一人取り残された一の君の視線は、やはり、気がつけば姉姫の姿を追っていらっしゃいます。

一の姫の白いかんばせ、長い黒髪、柔らかな所作――。

いつの頃からか、一の君は、一の姫を思う度に胸が高鳴るのを、とめることができなくなっておりました。

その思いにつけられるべき名も、まだ知らぬままに――……。