「持ってく。

他に借りる本は?」



「な……い…です」



「じゃ、いいね」





そう言ってスタスタと前を歩く蒼くん。



え? え??





「柏木さん?」





後ろに振り返り、私を呼ぶ蒼くんについていく。



なんか持ってもらっちゃってる。



蒼くん、優しいなぁ……。



今まで蒼くんをよく観察したことなんて無かったけど、蒼くんて姿勢がすごく綺麗。



背筋真っ直ぐだ。



歩き方もぶれて無くてすごく綺麗。



こんな綺麗に歩く男のコっているのね。



歩いてるときの髪の毛のなびき加減もなんか綺麗だなぁ……。



うん、蒼くんは綺麗な人だ。



またなんか、泣きそう……





「柏木さん」



「え?」



「え?

じゃなくて貸出しカード」



「えっ あっ」





蒼くんに言われて慌てて貸出しカードをカバンの中から出す。