ピピピピ!

ワイアームの圧力に押されに押され耐えながら、レンはその電子音を聞いた。

ワイアームの顎がギルディウスを呑み込まんと徐々に閉口していくので、視界が薄暗くなっている。

機体の軋みが、レンの手足、肘や膝を、神経病のように痙攣させていた。

汗を滝のように流しながら、目だけでちらりとレンは左のスクリーンを一瞥する。

特定の物体やベルヴァーの接近を知らせるレーダー。

それによって自動識別したコードが表示された。

「――えっ?」

Guildius・Machina=弐号機。

それは、あの格納庫に眠っていた、主なき武者だった。

玉の汗も弾けるような驚きも、一瞬――

「そっか……」

レンはなんとなく、だれがそれに乗っているのか、想像できた。

防衛都市から直線、なぜから知らないが、漆黒の巨人がブースターを全開で飛翔していく。

それを、まるで、悠久の彼方で別れた親友と再開したような気分で、レンは見ていた。
   、、、、
「――来たんだ、やっと」