支倉は、あとに引き返せないことを覚悟した、暗い笑みを浮かべる。

「ふ、。部外者にしては上等だ。――寺島、弐号機の現在地はどこだ。位置によってはこのまま出させる」

「で、ですが」

「司令!」

「どうした。早急に割り出せ」

「司令ッ!!」

「黙れ東海林!」

「っ!!」

肩を掴んできそうな勢いだった小佐を、支倉は一喝した。

実際、宙に持ち上がっていた手が、凍りつく。彼女の鉄面皮には、ひびが入ったようも見えた。

支倉は、部外者をギルディウスに乗せ、そのまま戦闘に出させようとしている。

これは重大な規律違反だ。

緊迫の空気に、

「――司令」

赤沢が口を挟む。

「ギルディウス弐号機は、第八番レーンを進行中のようです。ちょうど、東部市街地射出口から、上空のベルヴァーへ撃ち出せます」

「そうか。ならばそれでいく」

どよめきが、収まらない。

が、この場の最高権力者は支倉であり、副司令の地位にある東海林小佐は、黙らせられた。

支倉の指示は、絶対となる。