木佐木少尉は長く持たない。

スクリーンでは巨人の体がだいぶやり込まれていた。

支援がなければ、ギルディウスが現状を抜け出せる可能性は皆無。かといって、戦車の集中砲火も意味がない。例のバリアが強力すぎて、まったく効果が出ていないのだ。

間宮と楠本の焦りが、管制室の人間をも焦らせる。

上空の敵を討てそうな武器はない。

バリアを発生させられるなら、自分自身を守ることもできるだろう。

つまり、上空のベルヴァーもギルディウスの主砲で、ゼロ距離から撃たなくてはならない。

「っ……最強の矛と最強の盾を合わせてきたわけか……」

矛と盾が相殺してこそ、矛盾ということわざになる。

矛と盾が手を組んだなら、それはただの『最強』だ。

(どうする……どうやって攻略する……!!)

こうしている間にも、あの少女はギルディウスを通して、食われる恐怖を体の軋みとともに感じているのだ。

支倉の脳内に、

――支倉ぁぁああ!!――

(くそ……!)

少女の叫びが、木霊する――。