一切の疑問を無視して見たままを言うならば、白い、シーツだった。

子供がくるまり、お化けの真似事をしている……ちょうどそんなシルエットである。

「あれは……まさか……!」

「ベルヴァーです。恐らく、あのバリアらしきものも、このベルヴァーの力かと」

支倉の傍ら、東海林少佐が口にするより早く、赤沢が説明した。

どうやら赤沢自身、あんな形態のベルヴァーが……いや、〝生物〟がいるのかと疑い、何度とたしかめていたのだろう。

いつにも増して高速のタイピングが行われていたのは、そういうわけだった。

「――気付いていながら、報告しなかったのか。赤沢」

鋭く、支倉は彼を睨む。司令の声は、たとえどんなに小さくとも、ほかのどんな音とも別格として響く。

聞き逃す者は、いない。

彼の言葉も。そこにこめられた憤りも。少女への執着も。

支倉司令がギルディウスのパイロットに個人的な思い入れがあるのは、公然の秘密だった。

場の空気が、冷たくなっていく。