結果、レンは射撃をやめた。

「こぉ――ンっ、のぉぉぉおおおお――!!」

その場で思いきり地面を踏み締め、はっきり広げた両手を突き出す。

(射撃が効かないなら、まずは受け止めてから考えるっ!!)

気合いを、叫んでいた。

「来い、やぁぁぁあああああ――!!」

ガグィィ――ィィイイ――……ンンンン!!

鈍い鈍い衝突音が、津波になった。突風が地表を舐め、細かな塵が吹き飛んでいく。

その中央で、ギルディウスがワイアームの上顎をしかと掴み、大地に足をぬめり込ませながら、踏ん張っていた。

「っ、んっ、とか、止め、たぁあ……!!」

しかし、状況はまったくかんばしくない。

巨体のワイアームが力に優れているのはもちろん、ギルディウスはそのアギトに真っ向から挑んでいるのだ。

最悪、ギルディウスごと食われるのも時間の問題だった。

ギギグィギと鋼の全身が悲鳴をあげている。徐々に徐々に、震える膝と肘が曲がっていく。

「ムカデの餌になんて……なってやる、もん、ですか……!!」