緊張ではなく、興奮からレンは震えた。

あのトンネルの向こうに、『ぃよーやっと』倒すべき敵がいる。

『ギルディウス・マキナ、出撃カタパルトへの固定完了。いつでもいけます』

『ああ。――レン?』

「はいはいー、いちいち心配しなくたって、こっちもいつでもOKよぉ? トレースもばっちり」

と、これから飛び立てる戦場を思えば、好きではない上司への応答もなめらかになる。

『敵は北部から進行中だ。すでに第五市街地防衛線を突破されている。第四市街地防衛線を突破されるのも時間の問題だろう』

「あーりゃ、なあに、それ?」

『仕方あるまい。ケンタウロスの軍勢だ。数と速さでは、戦車大隊とてどうしょうもない』

「あーりゃりゃ、踏んづけられちったわけね?」

『そんなところだ』

気持ちの締め括りに、支倉が司令官らしい、律された声で言った。

『敵陣の攻撃により、第五市街地の射出口は使えない。よって第二市街地からの出撃になるが、そこは住民の避難が不完全だ。

よって、出撃と同時にバーニアを全力点火し、作戦区域まで飛んでもらうことになる。以降は、現場の状況に合わせよう。目的は敵陣の一掃だ』