「どんぴしゃっ!」

スコープを押し上げて、レンは勝利を叫んだ。

照準もタイミングも、一切の狂いなく、思い描いた射線を直進していった。








――ガギィィィ――ンン……!!





「――は、へ……?」

響いたのは、なんの音だったろう。

硬質なガラスを金属バットで叩き、しかし弾かれたような……。

いや、事実、弾かれたのだ。

主砲のビームが、ワイアームに命中する、直前で。

飛び抜けた光茫が、巨大なムカデの手前で空へ向かい屈折している。

「……いや、うっそ!? なーによあれぇ!?」

寿命の尽きる蛍光灯のように、ビームが細くなって消える。

その頃にはもう、ワイアームの尻尾が地中へ潜っていっていた。ハサミのついた尻尾だった。

「……かわいくない」

と、愚痴。

「かわいくない! あのシッポかわいくにゃい!! っていうか、あのバリアみたいなのなんなのぉ――っ!?」

せっかくのパーフェクトスナイプをどうしてくれるの、と駄々までこねるレンに、通信を繋げた支倉が怒鳴る。

『バカ者! 敵が地中から接近中だぞ!! ギルディウスは先行! ヤツを地中からいぶり出せっ!!』