「あっ、コイツっ。逃がすか……!!」

目的地の方向でも確認したかったのか、ワイアームはぐにゃりと体を曲げ、再び地中へ突入していく。

が、その体は三キロ……いや、正確には五キロ弱もあるのだ。

ワイアームの移動は、遅くはない。しかし、五キロもの体を引きずっているならば――

「当てられないほうがウソでしょーよっ!!」

ギルディウスが、右脇に主砲を抱える。左手で砲身を支え、中腰になった。

コックピットで前のめりになるレンに、シート上部からせり出したスコープが、上手い具合に被さった。B型装備時のみ、シートの肘掛けが変形する。それが今は、左右とも銃器のトリガーになっていた。

ヘルメットスコープの中で、二つの円が揺れ動く。コンピューターの誤差修正が入るものの、射撃の根幹はレンの腕にかかっているのだ。

(ヤツのでかい体には、難なく当てられる……だから狙うのは、弱い部分……)

そして円が、

(……体と体の、繋ぎ目……!)

重なった。

ピピッ! という合図の音が聞こえるよりゼロコンマ五秒早く、持ち前の反射神経でトリガーを引く。

レンの駆るクリムゾン機よりも赤い、濃縮された光が撃ち出された。