(私が後押しとか、したげようっかなぁ~)

そうでないと、几帳面ではあっても度胸のない間宮は、前に進めない。

そんな、余計なお節介を考えていた時だった。

地平線に近いところで、砂塵が噴き上がる。

「――出た!!」

思わず、口をついた言葉。恐らく管制室でも同じだったろう。

昇竜のように身を踊らせたのは、簡単に言えばムカデである。

ただし、全長は三キロどころか、四キロ、あるいは五キロ。からだの節々にトゲを持ち、下顎にはイノシシのような厳つい牙を生やした、異形のムカデである。

「ワイアームって名前は伊達じゃないってわけねぇ……!」

そもそも、ワイアームは地を這う竜の意を持つ。地中から、大量の砂塵を噴き出しながら現れる様は、その名に相応しいだろう。

「よっし、先手必勝」

こちらに近づくまで姿を見せないだろうと思っていた。が、敵は今、二五〇〇メートル先だ。高エネルギー長距離主砲の射程距離は、約六キロ。充分過ぎるほど圏内である。