ピピピピ!

と電子音が響き、左のスクリーンに間宮が写る。几帳面なA型の間宮は、正面から見ると、前髪を横一文字に揃えていた。

いや。A型というより、乙女のプライドかもしれない。

『木佐木少尉。現在、ギルディウスから左右に250メートルの距離を開け、自衛隊の戦車部隊が展開されています。よって、ギルディウスの立つ500メートル区間は、木佐木少尉の防衛戦です。もちろんフォローは入りますが、気をつけてください』

「はいはい~。……ちなみに間宮さん、例の件はどうなったの?」

『通信終わります!』

わざとらしく不機嫌な声で、繋げてきた時と同じように、間宮は通信を一方的に切った。

レンは、やれやれと、心の中だけで肩を竦める。トレーシングシステム起動中は、ギルディウスが反応するため、下手には動けないのだ。

(間宮さんも、ちゃちゃっと告白すればいいのに)

だだでさえ、生きることに精一杯の時代なのに。そんな中で、恋という、生きていることをこれ以上ないほど贅沢に味わえる感覚を抱いているのに。

間宮は臆病だ。なんのために、前髪を気にしているのか。