コックピットの中で、レンは彼方を見やる。

「あー、いつ見ても、なーんて言ったらいいかわかんない景色ねぇ~」

防衛都市の最外周防壁に陣を敷いているのだから、見えるのは当然、『外の世界』。

焦土と化した大地は、黒い。漆黒の太陽が、真っ白な輪郭だけを浮かべている空は、赤黒い。まばらに生えている草は、毒素でも吐き出しているように、黒ずんでいる。

黒い。それが率直な、そして簡単な、一番の感想。それ以上どうとも言えない。まるで、乱暴に描き殴られた鉛筆画のような世界が、広がっていた。

何度か支倉の部屋――司令室の窓からかつての、自分が生まれる前の青々としていたという世界を、見たことがある。

空は青。雲の白などを織り混ぜた、濃淡に富む複雑にして柔らかな青。あるいは蒼。

みずみずしい草花が大地に溢れ、風さえも色づいて見える、鮮やかな景色。目に眩しい、輝かんほどの光景。

ただ、レンにしてみれば、どちらの世界も「なんて言ったらいいかわかんない」のである。

どちらの世界でも、たぶん同じなのだ。自分が生きているかどうか、実感できるか。たしかめられるか。それを知る、難しさは。