レンは続けて言った。

「搭乗者名、木佐木・レン・クリムゾン。トレーシングシステム接続開始」

『Yes sir』

無機質で中性的な音声が答え、コックピットシートから大量のコードが溢れ出す。

その、特大注射器針のようなプラグが、

「! あっ、ぃ、ぐっ……!」

レンの首筋、両手足に次々に突き刺さった。

痛みと衝撃に、少女の体が幾ばくか弓なりに反り返る。

「――っ、く、ぅぅ……」

神経接続の瞬間に走る電撃的痛みを、数秒息を止めてやり過ごしたレンは、

「っ、ふ……――ふ、ふふふ……」

獰猛にさえ取れる眼差しを、パネルへ向けた。

簡易シルエット化されているギルディウスは、首もとまで青く染まり、頭の部分はやや緑である。

横に表示されたトレースパーセンテージに、ほくそ笑んだ。92%とある。

「へへ、さっすが私……やるじゃん」

ギルディウスに乗っている自分。

ギルディウスに乗れる自分。

すべてに自信を持つ。

その時、がしゃんと、少し大きな震動がひとつ。

ゆったり動いていた周囲の景色が、止まった。

正面には、やや斜めに上っている、先の見えないトンネル。

レールの敷かれた、射出口。