そんな世界だからこそ、食料確保は重大だった。
日本は、食料自給率がただでさえ低かった。ベルヴァーの侵略により、他国との貿易を悠長に行っていられない現代――すべての食物は自給自足、あるいは化学合成食品――言ってしまえば、紛い物である。
幸か不幸か……日本は激戦区。いや、激戦区であることだけ言えば、純粋、不幸である。が、おかげで人間の数が少ない。防衛都市の規模に比べれば、人口密度はかつて栄えた日本の首都東京を下回っている。パーセントで示せば、目に見えて、著しく減少しているに違いない。
食べる者が少なければ、需要も減る。幸か不幸かというよりも、不幸中の幸い、とでも言おうか。人口の減少した日本は、おかげで食糧難は逃れている。とはいえそれも、このままベルヴァーの侵略が続くならいつまで持つかわからない、とんとんの状態だが。
少なくとも、言うほど余裕がある、というわけでもない。こんな時世でさえも仕事をし、金銭を確保しなければ、食うには困る。そして当然のこと、食料を必ず獲得できる生活層も限定されてくるのだ。
三食食べることができる。
それはささやかな、しかし確実に、贅沢だった。
日本は、食料自給率がただでさえ低かった。ベルヴァーの侵略により、他国との貿易を悠長に行っていられない現代――すべての食物は自給自足、あるいは化学合成食品――言ってしまえば、紛い物である。
幸か不幸か……日本は激戦区。いや、激戦区であることだけ言えば、純粋、不幸である。が、おかげで人間の数が少ない。防衛都市の規模に比べれば、人口密度はかつて栄えた日本の首都東京を下回っている。パーセントで示せば、目に見えて、著しく減少しているに違いない。
食べる者が少なければ、需要も減る。幸か不幸かというよりも、不幸中の幸い、とでも言おうか。人口の減少した日本は、おかげで食糧難は逃れている。とはいえそれも、このままベルヴァーの侵略が続くならいつまで持つかわからない、とんとんの状態だが。
少なくとも、言うほど余裕がある、というわけでもない。こんな時世でさえも仕事をし、金銭を確保しなければ、食うには困る。そして当然のこと、食料を必ず獲得できる生活層も限定されてくるのだ。
三食食べることができる。
それはささやかな、しかし確実に、贅沢だった。

