世界は、ベルヴァーの侵略に怯えている。すでに全世界の半分以上がベルヴァーの支配下となっていた。

人類は、言わば、籠城に近い状態なのである。土地に点々と防衛都市を築き、防衛線を張り、かろうじて生残している。

日本ばかりではない。世界のどこでも、今は同じだった。生き残るために、いや、生き残ることだけで、精一杯なのである。

ベルヴァーは、ただの化け物ではない。有象無象の獣もたしかにいるが、少なくとも、都市へ攻め入るベルヴァーらは、何者かに統率された作戦行動を取っているらしい。確固たる目的を共有している。

噂程度だが、ベルヴァー同士がコンタクトを取っているという話も聞いたことがあった。

真人の勝手な考えだが、ベルヴァーには階級があるのだろう。

力があり頭のいいものが、侵略を行う。ほかのベルヴァーは、そうして陥落した地に蔓延る。

つまり今、都市の外を闊歩しているのはそんな、低俗なケダモノなのである。

もっとも……凶暴性に変わりはない。人を食らうベルヴァーもいれば、鉄を食らうベルヴァーなど、多種多様な魔属が蔓延っている。

都市の外は、魔界といっても過言ではなかった。