「んっぅ~……はあっ」

震動を味わいながら、レンはグッと背伸びをした。

硬い素材と柔らかい素材を組み合わせ、伸縮性を持たせている赤いパイロットスーツが、ググと鈍い音を立てた。

ふぅ、とレンは息を抜く。そして、真っ赤な髪をちょうど、先ほどまでスクリーンの中で踊っていた歌手と同じ、二つ縛りにする。いわゆる、ツインテール。

コックピットシートの脇に置いていたケースから、赤い縁のメガネを取り出す。

もっとも、それをかけたところで視界に変化はない。伊達なのだ。

レンは慣れた手つきで、足の間にあるモニターパネルを操作する。

パスワードを入力し、言った。

「ギルディウス・マキナ、システム起動」

――キゥィィィィィンンンンン――

途端に、どこかでなにかが高速回転するような、甲高い音が鳴り始める。

小型モニターの光だけだったコックピットが、明かりを得た。

360度全方位のスクリーンが周囲の景色を映し出し、あたかも、宙に浮いているような錯覚。

まるで電車の格納庫のような、レールとトンネルだらけの中をギルディウスは移送されていく。