数と速さのケンタウロスでダメならば、巨体のワイアームで攻めてくる。
三週間もの間ベルヴァーの軍勢が静かだったのは、単にこの化け物の目を覚まさせるためだったのかもしれない。
『司令』
と東海林中佐に促され――るまでもなく、支倉は言った。
「全体へ通達、A級戦闘配置だ。自衛隊に協力を要請。民間人を東部市街地からの全面避難させろ。それから、ギルディウス一号機をB型装備にし、木佐木少尉の出撃準備を急がせろ」
『了解しました』
受話器を置き、通信を切る。
作戦管制室は、この司令室の真下である。椅子の肘掛けにあるスイッチを押せば、椅子ごと、管制室へ降下することができた。
が、支倉はしばし、じっとしていた。そして、なんとはなしに思い出す。
受話器をもう一度立ち上げる。
「はい」とワンコール目で答えた、やや暗い声に、支倉は言った。
「――あぁ、森技術主任。私だ。弐号機パイロットのことなんだが――」
三週間もの間ベルヴァーの軍勢が静かだったのは、単にこの化け物の目を覚まさせるためだったのかもしれない。
『司令』
と東海林中佐に促され――るまでもなく、支倉は言った。
「全体へ通達、A級戦闘配置だ。自衛隊に協力を要請。民間人を東部市街地からの全面避難させろ。それから、ギルディウス一号機をB型装備にし、木佐木少尉の出撃準備を急がせろ」
『了解しました』
受話器を置き、通信を切る。
作戦管制室は、この司令室の真下である。椅子の肘掛けにあるスイッチを押せば、椅子ごと、管制室へ降下することができた。
が、支倉はしばし、じっとしていた。そして、なんとはなしに思い出す。
受話器をもう一度立ち上げる。
「はい」とワンコール目で答えた、やや暗い声に、支倉は言った。
「――あぁ、森技術主任。私だ。弐号機パイロットのことなんだが――」

