先日のベルヴァー襲来から早くも三週間が経過していた。

損壊した第四市街地はある程度の復旧を終え、特別倒壊の危険などがない区域については、すでに民間の出入りが許されている。ストリートショップも立ち並ぶようになったという報告を聞いたときは、まったく、人間の雑草じみた根性を見たようだった。

666を直轄している上層部への定期報告を終えた支倉は、溜め息をついた。今はひとりなので、気がねなく。

司令室は、無駄に広い。部屋の端から端までは、優に五十メートルを数える。四方の壁はすべてガラス張りであり、外の景色を眺めることができた。

が――特殊機関666の本部は、地下にある。窓から覗く風景はすべて、ただのホログラムだった。ゆえに、緑の溢れる大地と、今や失われた青い空が燦々と輝いている。

もう取り返すこともできない景色は、むなしさを助長させる。回転する椅子をくるりと回し、重鎮なデスクに背を向けた。

気がねなく、また溜め息。青い景色は、心を洗ってはくれない。むしろ、手に入らないものをわざわざ見せつけられ、さらにはお預けされているようで、鬱になる。

幻想の風景に心癒される老人の気持ちが、支倉にはわからなかった。