「なんでギルディウスがほしいのかは知んないけどさ、一緒来る?」

「なに?」

「目を見ればわかるよぉ。アンタ、ベルヴァーぶっ殺したいんでしょ?」

自分が男をおもしろいと思っているように、

「……」

「ほら、来なよ」

男も、自分のことをおもしろいと思っているに違いない。

いいや、いっそおかしいとさえ見ているだろう。

だがレンはその眼差しに甘んじる。そういう目を向けられれば、自分の性格が確認できる。

自問自答は疲れるのだ。それならだれかから、『木佐木・レン・クリムゾンはおかしな人間だ』と見てもらったほうが、わかりやすい。

世界は生まれた時から血まみれだった。稀薄で、無価値に近かった自分の存在を認知するのは、大変だった。

今でさえも、自分をたしかめきれている気がしない。

だから、

「――お前、変なヤツだな。軍人なのか……?」

そう言われると、笑ってしまう。

嬉しくて。

「ふふふ……これでも私ゃ日本国軍特殊戦闘機関666所属なのよん」

「スリーシックス……。聞いたことないな。自衛隊じゃないのか?」

「知らなくて当然じゃん。特殊機関なんだからねぇ」