自分の身の丈を越すほどの、大きな肉塊が散乱している。

それから流れ出した血液と体液の作り出す、赤い小川。

ガラスも割れ、ひびの入ったビルや木々を染めているのは、粘性を帯びた赤。

気付けば、足元も水浸し。

その色は無論のこと、赤。鉄臭さが、鼻と言わず目にまで沁みる。

気を失っても、吐き気に立ち眩みを起こしてもおかしくない、まさしく血の海を前にして――真人は、目を見開いていた。

喉が、からからに渇く。ごくりと唾を飲み込んだところですぐに、渇く。動悸がし、頭もがんがんした。

「――いた」

と呟くことで、己の視覚を確認する。

そこに、いたのだ。

片膝を突いて静かに俯き、炎をまとっているかと見紛う巨人が。

凄惨な紅の街並みを背に、目覚めの時を待つようにして。