力がほしかった。あの巨人はそして、力だと思った。

第四市街地へ行って、まだあの巨大な鎧がいるかは、わからなかった。

仮にいたとして、自分が接触できるかなど、なおわからない。

いや――都合のいい楽観を捨て現実を見るなら、あれを手に入れるなど、土台無理な話なのだ。

恐らく、あの巨大な鎧は軍の最新兵器だろう。それに、民間人が接触できるわけがない。

しかし、それでも、真人の足は第四市街地へ向かっていた。

この目でアレをもう一度見ても、力を得られない己の非力さを痛感するだけ。

むなしい結果は目に見えているとわかっていて、それでも、蛾が灯りに誘われるように、足がそこへ向かう。野々村も関係なく、自然と速まる。

無力さは、彼女を失った時から疼き続けている。そして、力を得ることができないままの自分、彼女のように死ぬことさえできない自分に、嫌気が差す。

しかし、打開することも、できない。無力だから。

なにが変わるとも思えない、けれどなにか変わってほしい。

まるで子供が意味のわからない駄々をこねるようなもやもやを抱えた真人は、

「――」

角を曲がり、そこに広がる深紅の光景に、息を呑んだ。