『いいよ、じゃあハッキリ言うけど、トレーシングシステムの反射、もっとあげてよ。私の動きにゼロコンマ・ハチナナ秒遅れるの。約一秒って、戦場じゃ致命的じゃない?』
「トレーシングシステムを抑制することでパイロットへの負荷を軽減してもいる、その誤差だろう。お前の身を守るための制御だ」
『いややや、私にそんな気遣いは要んないし』
「……技術部に話しておこう」
『よろしく』
と、お調子者なレンからの通信にしては、わりとあっさり終わった。
ようやくの出撃、初めての実践を経たのだから、あのレンならもっと騒ぐかと思っていた。
予測は、外れたが。
もっとも、それとて無理はない。
たった一機で118体ものケンタウロスを駆逐したのだ。戦闘時間も、200分を優に越えている。疲れが出ているのだろう。
支倉は溜め息をつく――のを我慢した。
その場で、自分は指令という立場にあるのだから。溜め息以前にやることがある。
しかし――なぜか、どうにも、気分が乗らない。責任者が『気分』などと言っていられないのは百も承知だが……
それでも、戦って勝利したのがあの木佐木・レン・クリムゾンかと思うと。
「トレーシングシステムを抑制することでパイロットへの負荷を軽減してもいる、その誤差だろう。お前の身を守るための制御だ」
『いややや、私にそんな気遣いは要んないし』
「……技術部に話しておこう」
『よろしく』
と、お調子者なレンからの通信にしては、わりとあっさり終わった。
ようやくの出撃、初めての実践を経たのだから、あのレンならもっと騒ぐかと思っていた。
予測は、外れたが。
もっとも、それとて無理はない。
たった一機で118体ものケンタウロスを駆逐したのだ。戦闘時間も、200分を優に越えている。疲れが出ているのだろう。
支倉は溜め息をつく――のを我慢した。
その場で、自分は指令という立場にあるのだから。溜め息以前にやることがある。
しかし――なぜか、どうにも、気分が乗らない。責任者が『気分』などと言っていられないのは百も承知だが……
それでも、戦って勝利したのがあの木佐木・レン・クリムゾンかと思うと。