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手で触れて初めて緩やかな弧を描いていると分かる巨大なスクリーンを見上げていた。

横から、グレーの制服を着、片耳だけのヘッドフォン型通信機をしている女性オペレーターが報告してくる。

「ギルディウス・マキナ、クリムゾン機、敵ケンタウロス勢を掃討完了しました」

「そうか。ギルディウスの損傷は?」

「ランサーモードによる右肩への過負荷と、予想以上の運動量による脚部への金属疲労以外、特別見られません。外傷の見られる装甲板も、交換可能です」

「ふむ。さすがは――」

自ら最前線へ志願するだけはある。

肝心の部分は心の中だけで、口にはしない。

オペレーターのひとつ左。熊のようないかつい体躯の男が、銅鑼を叩いたような声で言った。

「指令。パイロットから通信が入っています」

「繋げろ」

モニターにウィンドウが開き、赤い髪、赤い伊達メガネをかけた少女が映る。

やや、不機嫌に見えた。

「どうした、不機嫌そうだな。念願の出撃を果たせたばかりか、快勝したには相応しくない顔じゃないか?」

『あっそぉあらそぉ、そう見える?』

「見えるな」

一も二もなく頷くと、レンは「ふぅ」と息を吐いた。肩が上下。