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『北部第四市街地防衛ライン突破されました! 敵勢は依然南下中!』

前に、「状況報告を雑音と片付けてはならない」と支倉から言われたのを、思い出した。

『救護班は第三市街地を東南から抜け、第四市街地へ迎え!!』

思い出した、すぐあとには、

『ギルディウスが出撃している! 残存部隊は緊急避難経路一番と五番から退避! 繰り返す、残存部隊は――』

「あー、うっちゃいうっちゃい、やっぱり棒読みな報告ってナンセンスぅ!」

やはり、ただの雑音としか思えなくなった。

巨大な西洋鎧――もとい、戦闘機兵ギルディウス・マキナのコックピットで、

「やっぱりね、もっとわかりやすく言うべきなのよ」

少女は通信を全部隊に繋げた。

「さあさあっ! とっとと逃げないと、ベルヴァー共々吹っ飛ばしちゃうよーん!!」

その直後、モニターの右手側にウィンドウが開いた。

ダークスーツに身を染めた、オールバックの男が眉をしかめている。だみ声。

『滅多なことを言うな、木佐木少尉。要らぬ混乱を招く』

「はいはい、わかってますよ。――あ。クリムゾン機、作戦区域に着地するから!!」