「…てか、結局合流してんな俺ら。これからどーする」

「……」

…二人が立てた黒川邸侵入作戦。
二人同じ立場で立ち回るより、一人はこっそり、一人は堂々と女として侵入するというものだった。

その方が隠密に動ける方と気軽に黒川邸の者と会話出来る方とで、情報収集、探索が捗ると見ての事だったが……

因みに拜早侵入用の段ボール荷物の経路は管原に住所を借りた。

「そうだね……一先ずもう一度別れよう。目標は蓋尻に茉梨亜の居場所を吐いて貰う。拜早は……」

「今は俺の方がおまえより動けるだろ。直に茉梨亜も捜す。先に蓋尻を見つけたら絞める」

「物騒だね〜拜早」
「おまえに言われたかねー」

ふふ、と笑ってから、咲眞はなんとなく思った事を口に出す。


「でもさぁ、僕が媚びて質問するのも、拜早が脅して質問するのも、なーんか同じ手間な気がする」

「……けどおまえが居たおかげでさっきの子、なんとかなったんだろ?じゃあいいじゃん、良い事1だろ」

拜早の言葉に咲眞は一瞬きょとんとなった。
そして。


「あははっそうだねぇ…良い事1、か」

思わず笑みが零れつつ咲眞が先に一歩を踏み出すと、後ろから拜早が声を掛けた。


「…気をつけろよ、おまえも一応女って事なんだからな、咲眞」


少し振り向き、咲眞はふっと笑う。

「大丈夫だよ。拜早だって強い奴に見つからない様にね?峯とかさ」

咲眞の警告に、拜早も少し口の端を上げ…ああ、とだけ返した。


茉梨亜を見つけるまで、捕まるわけにはいかない――