アザレアの花束を



そう、何のためらいも無く言う彼女は
きっと慣れているのだろうと、直感でわかった。



「お前は吸血鬼だ。人間じゃない」



冷めた口調でいい放つのは、やはりあの男だった。


名前は、玲だったっけ?



「そんなこと急に言われても、わかんねぇよ」


「……この子、人間としての自覚のほうが強いのかしら」



馬鹿な、と男は吐き捨てる。


人間?


吸血鬼?



そんなこと言われても、俺は俺だから。


2人が何を言いたいのかさっぱりわからない。



「俺は……!」



そう言おうと思ったとき、急に眠気が俺を襲った。



眠りに落ちていく俺を見て、女は腕を組ながら言った。



「まだまだ、未熟ね……」