アザレアの花束を



始めて見たときは、嘘だと思った。


こんな方法があるはずがない、と思った。




……だけど、今は信じてみたいと思う。




何の根拠があって言っているのかわからない。



『最悪の場合、消滅――』



そんな文字が俺の頭の中から消えないけど、


愛を好きになってしまったから。


愛が俺を好きだから。




消滅したら?


なんて思わない。




ただ、ずっと一緒に。


多くの幸せはいらない、平穏でふたりでずっと一緒にいられればいいんだ。


吸血鬼のままでは、いつか愛を殺してしまう。


だから、俺は吸血鬼をやめるよ。


そして、できるなら……


確率の低い賭けに挑んで、


俺、なりたいものがあるんだ。