アザレアの花束を



そこで、俺は気づいた。


一か八か。


それでも、確率はある。


彼女と離れる必要も無くなる。



俺は声を張る。



「愛、よく聞いて」



さっきまでとは違う俺の声に、彼女はぴたりと泣きやんだ。


これは賭けだ。


……神に逆らうんだ。



「明日、日の出にここに来て」



彼女は赤くなった目を丸くする。



「だめだよ、呂依。そんなことしたら……」


「そのとき俺がいたら、愛の両親に会いに行く」



彼女が心配しきった目で俺を見る。


きっと、その続きを待っているのだろう。



「もし、俺がいなかったそのときは……」



そんなこと、考えたくなかった。


だけど、確率は半々。


言っておかなければならない。