そう思ったときだった。
俺は自分の目を疑った。
「なんだよ、これ……」
そう呟く声が震えていた。
「なんでこんな本に、こんなことが書かれてるんだよ……」
思っていることが、そのまま台詞となって溢れだす。
「確かめたのかよ、この作者は……っ!」
そう言って、俺はその本を思い切り床に叩きつけた。
その音を聞きつけてか、
海さんがホールへ来た。
「呂依、どうしたの……?」
俺の様子に動揺したのか、
なだめるように言う海さん。
だんだんと冷静になってきて、
俺はその本を拾い上げ、海さんに返事をする。
「いや、なんでもないです……」
「……そう? それならいいけど」
それならいいけど、
何か気になることがあったら、必ず私に言いなさい。
そう言い残して、海さんは自室へ戻っていった。

