アザレアの花束を



階段を降り終えると、そこに広がっていたのは、

部屋いっぱいに置かれている本棚だった。


その本棚には、所狭しと本が詰めて並べてあった。


その光景に圧倒されていた俺に、玲さんは言う。



「書庫だ」


「……書庫?」


「昔、この洋館に住んでいた主の物だ」



俺は近くにあった本を手に取った。


少し黄ばんだ紙をパラパラとめくる。

どうやら、物語らしい。



「暇そうだったから、教えておく。好きに使うといい」



玲さんはそう言って、俺にランプを手渡すと、そのまま階段を昇っていった。


ランプを受け取った俺は、
とりあえず地下の中をまわった。


本の背表紙を見ていくと、

物語や参考書、論文とジャンルはバラバラだった。


歩きながら本を眺めていた俺の足が、

あるところでピタリと止まった。