アザレアの花束を



海さんは、
虚しそうに微笑むと



「ええ……そうね」



と、答えた。




* * *




それから、

俺は誰に言われるわけでもなく洋館に閉じこもった。


外に出れば、
自然と愛のところへ行ってしまう気がしたから。



だけど、

そんな俺を見かねてランプを持った玲さんが俺に言った。



「呂依、ついて来い」



ホールの椅子に腰掛けて、ぼんやりとしていた俺は立ち上がって、

言われるがまま玲さんの後をついて行った。


向かったのは、
洋館の地下だった。


始めて足を踏み入れる場所だった。


まず、この洋館に地下があることを知らなかった。


時刻はまだ昼で、
洋館の中もほんのりと明るかったが、


地下への階段を降りるにつれて
視界が暗くなっていく。


さすがに、
月明かりもない真っ暗なこの部屋の中では

ランプの光を頼りにするしかない。