アザレアの花束を



俺はぐっと歯を食いしばって、玲さんに問う。



「じゃあ、俺はどうしたら……?」



玲さんは視線を海さんに向ける。

すると、
海さんは何の感情も込めずに言い放った。



「彼女には、もう会わないことよ」



……会わない?


さらに追い討ちをかけるように海さんは続ける。



「彼女は、貴方が吸血鬼だということは知らないのでしょう?

……知ったら彼女はどう思うかしら。
きっと、拒絶するでしょうね。

それでも彼女を愛するの?」



俺はきゅっと口を結ぶ。



言い返せる言葉が見つからない。


俺が吸血鬼だと知ったとき、
彼女がどういう反応をするのかわからない。

だけど、
海さんの言うとおり

拒絶はするだろう。



……それに、
俺はあの約束を破ってしまった。


彼女はまだ待っているのだろうか?


それとも
愛想をつかした?


その、お見合い相手と愛は結婚するの?



「俺に会わなければ、愛は幸せになれる……?」