アザレアの花束を



聞き覚えのある声だった。


うなだれた視線で声の主を見ると、

そこには目を見開いて
呆然と立ち尽くしている玲さんがいた。



「お前、まさか……」



俺は視線を地面に向けたまま

口元にかすかな笑みを浮かべ、

頷いた。



「本能に負けたのか……?」



そこで
意識が遠のく。








俺、


人間を殺しちゃったよ。