アザレアの花束を



女の血を貪り食ったあと、

俺はぐったりとその場に座っていた。



そばには人間の死体。


この状況を誰かに見つかれば、

俺は捕まり火炙りか。



やっぱり俺は吸血鬼なんだ。



ははっと力の無い笑いが込み上げてきて。


わかっていた。


いつかは
こうなってしまうことを。


だけど、いざこのときが来てしまうと


どうしようもなく情けなくて。



人間のように

俺も涙を流せると思った。


それなのに、

どうやらこの体は涙を流す機能がないらしい。



なにもかもが壊れて、


いつかは愛もこうしてしまうのかと思うと……




「……呂依?」