アザレアの花束を



ふらふらと森を抜けて道があるところまでで、
俺は地面に降りた。


辺りはもうすでに暗くなっていて、
人通りは少ない。



気のせいだろうか。


今日はいつもよりも
暗闇が心地よく感じる。



……おかしい、

と思ったときだった。




頭をかなづちで殴られたような痛みが走った。


このときに
海さんからかけてもらった術が解けていくのを感じた。



俺はその場にしゃがみ込み、
頭を抑える。


“このボクに敵うわけが無いじゃないか”


誰か、が俺を嘲笑っている。


“本当馬鹿だよね、さっさと従えばいいのに”


ケラケラと笑う、

コイツは誰なんだ。



世界がモノクロに染まっていく。


助けて


玲さん、海さん、


愛……



“いつまでも綺麗事なんてほざいてないでさ”