アザレアの花束を



瞳を閉じ、

数秒経って目を開ける。


鏡に映っている自分の姿は、

人間と区別ができないほど……



の、はずだった。



「目の色が……」



俺は呟いていた。


何の感情もそこには無かった。

本当に、
ぽろりと口をついて出た言葉。


俺はもう一度気を高める。


瞳を閉じて、

目を開けて。



「変わらない……」



今度の台詞は、抑え切れないくらいの感情が含まれていた。


焦り、

戸惑い、

そして
絶望。


どうして変わらない?


俺は自分の両手のひらを見て思う。



「力が衰えているのね」



焦る俺の横で海さんはそう呟く。