アザレアの花束を



何の悪意も無く訊いてくる、彼女の笑顔に胸が苦しくなる。



色々な“理由”を考える。


ああでもない、こうでもない、
と考える俺が嫌になった。




もし、
俺が吸血鬼だ、と彼女に言ったら……



彼女は、どうする?



逃げる?

軽蔑する?


どっちにしろ、俺から離れていくんだろう?



「天気がいい日は、親の手伝いをしなければいけないから」



彼女と離れるのは、嫌なんだ。


愛は渋々、そうなんだ、と言うと俺を見上げた。



「じゃあ、天気の悪い日は、絶対ここに来て」



お願いだから、と彼女は言った。



俺に“立派になれ”と海さんは言ったが、

それには
もう少し時間がかかるかもしれない。



だって、

こんなことを言われても冷静でいろ、なんて

無理だ。