アザレアの花束を



彼女は俺に小瓶を渡した。


その中には赤いジャムが詰まっていた。



「リンゴのジャム」



と彼女は言った。


俺は、無性にに嬉しくなって
その小瓶を割ってしまうんじゃないかってくらいに握りしめた。



「ありがとう」



すると、彼女は笑った。


俺もつられて笑った。



彼女と会うのは、これで2回目なのに
俺が生まれる前からずっと一緒にいるような気がする。



彼女と一緒にいると

俺が吸血鬼だとか、
彼女が人間だとか、


どうでもいいことのような気がする。








それから、俺と彼女はひとしきり話したあと別れた。



別れる間際、
彼女は俺の手を握った。