アザレアの花束を



「ちょっと遊ぼうよ。

誰を待ってるか知らないけど、そんな奴より俺らと遊んだ方が楽しいよ」



彼女のそばには男二人がいて、
その男の片方は彼女の腕をしっかりと掴んでいた。


彼女が嫌がっていることは一目でわかった。



「嫌よ!」


「でも、君さっきからずっと待ってるよね?
本当に来るの、ソイツ」



俺は彼女のもとまで走った。



「来るわよ、呂依は。


だって、天気の悪い日は会えるって言ったもの!」


「愛!」



俺は彼女の名前を呼ぶと、片方の男の胸ぐらを掴んだ。



「愛に何か用か?」



声のトーンを低くして、
玲さんがするような目付きで睨んだ。



するともう片方の男は「ひっ」と言って、
一目散に逃げていった。