アザレアの花束を



“人間の女の子のことで”



とか言ったら
海さんも黙っていないと思う。


しかも

今から彼女に会いに行くと言えば、すぐに“狩れ”と言われそうだ。



ここは
言わない方が身のためだと判断した俺は嘘をついた。



「外の空気を吸いに」


「可笑しなことを言うのね。
それなら、血を吸った方がいいわ」



俺は、もうそのことが海さんに知られていると思って体が硬直した。


海さんは続けた。



「まあ、呂依はその前に獲物を見つけなければね」



その台詞を聞いて、
ほっとした。


海さんにはまだ知られていない。