アザレアの花束を



「わかっているのか?」



声のトーンを落として、冷さんは振り返らずに言う。



「わかってるって、何を……」

「お前も、もうそろそろ人を狩らなければいけない」



俺の顔が強ばった。



「俺に、しろって言うんですか」



玲さんは頷くと、



「獲物を探しておけ」



そう言い残して、人混みの中へ溶け込んだいった。



俺は彼を追おうとしたけれど、もうすでに彼の姿は見えなかった。



「探せって……」



殺す相手を?


そのために、俺をここに連れて来たのか?



何で、だよ……。