アザレアの花束を



……その瞬間、身体中に痛みが走った。



痛い、

恐い、

気が、


遠退く。



呼吸ができなくなる。



そのとき、
シャッと言う音と共に光が消えていった。



「何をしているんだ!」



俺は振り返って声の主を見た。


「死ぬ気か!?」



ずっと冷めている男だと思っていた奴が
今、ものすごい剣幕で感情を高ぶらせている。



やっと、俺が何をしていたかわかった。


光に当たった手を見ると、赤く痕が残っていた。



俺、吸血鬼なんだ……。



自覚が無かったからと言っても、今のは最大のタブーだ。



「……すいません」



俺はしゅんとして男に謝った。

男は何も言わず、俺の手に両手をかざすと青い光を放った。



すると、赤い痕がみるみるうちに消えていった。