夜―。


私は自分の家じゃなく、お母さんの家の方にいた。


お母さんは「悠翔さんの帰りを待っててあげなくていいの?」と、言ったけど、私は首を左右に振った。


会いたい……。


でも会いたくない……。


聖夜と紗雪は海と桜と遊んでいる。


お母さんはキッキンで洗い物をしていた。


私はリビングのソファーの上で膝を抱えて座っていた。


頭に残る女性の声。


甘えるような女性の声が頭に響く。


耳を塞いでも聞こえる女性の声。