「俺からも雪にクリスマスプレゼントを渡していい?」
「私に?」
「あぁ」
悠翔さんは私をそっと離すと、スーツの内ポケットからプレゼント包装された封筒くらいの大きさのものを出した。
「これ。雪にクリスマスプレゼント。開けてみて?」
「うん」
私はプレゼントを受け取って包み紙を取った。
中から出てきたのは旅行券。
「悠翔さん…これ、旅行券?」
「あぁ」
「悠翔さん……」
「聖夜と紗雪のことは俺に任せとけばいいから。お義母さんと一緒に女同士で旅行にでも行って、ゆっくりしておいで」
悠翔さんが微笑む。
うぅ…。
悠翔さんの優しさで泣けてきちゃう。
下を向いたら涙がポタポタ落ちてきた。
「何で泣くんだよ~。もぉ、雪は泣き虫なんだから」
「だってぇ…」
悠翔さんが私の体をギュッと抱きしめた。
でもこの悠翔さんからのプレゼントが、夫婦の危機に直面するなんて……。
この時は知る由もなかった――。