「どうして嘘ついた。どうして雪にあんなこと言ったんだ!」
「羨ましかったのよ……」
由香の目に涙が光る。
「はぁ?」
「悠翔と結婚して幸せそうな奥さんが……。私も悠翔と結婚してたら今頃……って思ったら、急に奥さんが憎くなったの」
何だよ……。
ただの嫉妬であんな嘘ついたのかよ。
「羨ましい?俺と結婚してたら今頃?何言ってんだよ?お前さぁ……俺の住んでたアパート見て何て言ったかわかってる?」
由香は何も言わずに俯いた。
「俺と金目当てで付き合ってたんだろ?違うか?」
由香は俯いたまま唇を噛みしめている。
「昔と変わってねぇな。俺、帰るわ」
俺はそう言って、立ち上がった。
由香は俯いたままこっちを見ようともしない。
俺は由香の家を後にした。
―悠翔Side end―



