15の夜はティラミス・ガールズと共に

 徹夜明けの寿の疲れ切った心臓が、指の先まで熱い血脈を迸らせた。
 
 “だからさ、 寿は『飛ぼう』としてるじゃん”
 それは少年への真っ白なエールだったのである。
 
 
 双子は続けて、「もがいてて、惨めで。周囲を傷付けて、バカにして。 プライド高い自己中なクソガキだけどね」と笑った。


 
 暫しの沈黙の間、寿の瞳は震え続けた。
 
 「そうかもしれない…」
 やっと、彼が口にした言葉は、その意味を超越して世界を振動させる。

 その波紋の拡がりを十分に確認するかのように、三人は明け方のファミリーレストランにかかる『ロビンソン』のインストルメンタルを聴いていた。


 どこの誰が版権を買ったのかしらないが、酷い演奏だった。