15の夜はティラミス・ガールズと共に

 「君達は大人だから」

 寿は苦笑してティラミスの最後の一口を口に運んだ。

 「そういうのは偽善に思える、俺には。 いや、やっぱり世界は“ゴミ”で溢れてるには違いないんだ」



 双子は顔を見合わせて、その刹那笑い始めた。
 
 そして美幸は、「『ゴミで煌めく世界が~♪ 僕達を拒んでも~♪』」と、幼い弟と戯れるような微笑みの中で歌うのだった。


 「やめろよ」
 寿は自分の発言が子供扱いされた事に、幾分、憤った。

 けれども寿の憤りなどは虚仮だ、と言うように今度は智美が歌を続けた。
 
 「『きっと今は~自由に~♪』」
 

 やれやれ。
 寿は首を振った。
 
 しかしまぁ、双子の全く同じ声でも歌になるとこうも印象が違うのか、などと別の事に関心を逸らそうとした。


 と、トンネルに突入したカーラジオのようにメロディは止まって、聴覚の代わりというように、今度はビクリと触覚が反応した。

 
 余所を見ていた寿は驚いた。
 触覚の訴えの通り、テーブルに置かれた寿の手に彼女達の手が重ねられたからだ。

 
 「だからさ、 寿は『飛ぼう』としてるじゃん」