「君達は大人だから」
寿は苦笑してティラミスの最後の一口を口に運んだ。
「そういうのは偽善に思える、俺には。 いや、やっぱり世界は“ゴミ”で溢れてるには違いないんだ」
双子は顔を見合わせて、その刹那笑い始めた。
そして美幸は、「『ゴミで煌めく世界が~♪ 僕達を拒んでも~♪』」と、幼い弟と戯れるような微笑みの中で歌うのだった。
「やめろよ」
寿は自分の発言が子供扱いされた事に、幾分、憤った。
けれども寿の憤りなどは虚仮だ、と言うように今度は智美が歌を続けた。
「『きっと今は~自由に~♪』」
やれやれ。
寿は首を振った。
しかしまぁ、双子の全く同じ声でも歌になるとこうも印象が違うのか、などと別の事に関心を逸らそうとした。
と、トンネルに突入したカーラジオのようにメロディは止まって、聴覚の代わりというように、今度はビクリと触覚が反応した。
余所を見ていた寿は驚いた。
触覚の訴えの通り、テーブルに置かれた寿の手に彼女達の手が重ねられたからだ。
「だからさ、 寿は『飛ぼう』としてるじゃん」
寿は苦笑してティラミスの最後の一口を口に運んだ。
「そういうのは偽善に思える、俺には。 いや、やっぱり世界は“ゴミ”で溢れてるには違いないんだ」
双子は顔を見合わせて、その刹那笑い始めた。
そして美幸は、「『ゴミで煌めく世界が~♪ 僕達を拒んでも~♪』」と、幼い弟と戯れるような微笑みの中で歌うのだった。
「やめろよ」
寿は自分の発言が子供扱いされた事に、幾分、憤った。
けれども寿の憤りなどは虚仮だ、と言うように今度は智美が歌を続けた。
「『きっと今は~自由に~♪』」
やれやれ。
寿は首を振った。
しかしまぁ、双子の全く同じ声でも歌になるとこうも印象が違うのか、などと別の事に関心を逸らそうとした。
と、トンネルに突入したカーラジオのようにメロディは止まって、聴覚の代わりというように、今度はビクリと触覚が反応した。
余所を見ていた寿は驚いた。
触覚の訴えの通り、テーブルに置かれた寿の手に彼女達の手が重ねられたからだ。
「だからさ、 寿は『飛ぼう』としてるじゃん」



