15の夜はティラミス・ガールズと共に

 「赦し?」
 戻ってきた美幸が言う。

 
 「そう、赦し。諦め」
 寿は自答するように言った。

 
 「『諦め』…。 “悪くない”」
 言葉の響きを確かめるように智美は言った。


 と、そこに、ティラミスが運ばれてくる。
 「お待たせ致しました」と、口の奥でしか喋れないウェイターが言った。


 早速一番に、美幸が口に運び、「うん…“悪くない”」と、自分の双子の姉妹の真似をしていった。


 双子が一方の真似をするのは、どことなく変な光景だ。


 それを見た寿は微笑んで、「うん、初めて食べたけど…“悪くない”」と真似をした。