15の夜はティラミス・ガールズと共に

 「考えろ!」と、寿は小さく声を荒げた。それは、僕を理解してくれ、のSOSを含んでいた。「トレンディドラマとか、商業的な音楽とか、垂れ流されるニュースとか、“僕ら”にとっては全部ゴミなんだ」


 「離して…」


 「離さない!」寿は綾を抱き上げて、ベッドに放った。そしてテレビを付けた。「見てろ」


 夕暮れ時のテレビはまず、「…『ムシャクシャしていた。殺すなら誰でもよかった』と供述しており…」と報道し、次にチャンネルを変えると「…という経緯で今日の電撃離婚会見と…」と訃報を告げ、さらに別のチャンネルでは「…今日の新曲発表のゲリラライブでは…」と“大人気アーティスト”の“芸術”活動について語った。

 日々、屈強に鈍感力を養っている大人達からすれば、それは当たり前のマスコミュニケーションというものだが、15歳にしては十分に破滅的な哲学を含んでいたのだ。


 「…これが何よ」綾はベッドに転がらせられたまま言った。同い年の彼女には、大人達ちは違って、彼の言わんとすることが分かった。